ロケットインデューサ

宇宙輸送を支えるロケットの心臓

人工衛星を宇宙に輸送するロケットのパワーは、ロケットエンジンによって生み出されます。
ターボポンプは、エンジンに推進剤を送り込む「心臓」の役割を担う装置です。

研究イメージ1

キャビテーションによる不安定振動

ターボポンプの最上流部には、流体を吸い込みやすくする「インデューサ」が取り付けられています。
高速回転するインデューサは、キャビテーションによる不安定振動が課題となっています。
下記の動画から、キャビテーションが発生する様子を確認できます。

・ターボポンプの軽量化のため,高速回転で運転
 ⇒ 振動問題などの不具合に敏感
・羽根の周りで急減圧による「キャビテーション」が発生
 ⇒ キャビテーションによる不安定振動の発生

【ポイント】キャビテーション不安定がなぜ・どのように発生し、どうすれば抑制できるのか解明

トピック①キャビテーション不安定現象の発生メカニズムの解明

手法①高速フーリエ変換(FFT)

回転超同期旋回キャビテーション(R.C.):
軸回転数Ωの1.2倍で気泡が羽根の周りを伝播.羽根の疲労破壊を引き起こす.

回転同期旋回キャビテーション(A.C.):
軸回転数と同期(1.0Ω)で気泡が旋回.流体的なマスアンバランスにより回転軸の振動が増大.

回転亜同期旋回キャビテーション(Sub-S R.C.):
軸の回転よりも遅れて(0.8Ω)気泡が旋回.軸振動を引き起こす.

キャビテーションサージ(C.S.):
流体の流れ方向に気泡が伸縮.流量変動をともないロケットの推力変動にもつながる.

キャビテーションの様相が時系列で変化

FFT

羽根近傍の圧力振動を分析
高速フーリエ変換(FFT)

手法②可視化アクリルと高速度カメラによる観察

・羽根に対する気泡の発生位置,発生長さの分析
・チップクリアランス(羽根先端と壁面の隙間)の気泡流動を観察
・回転軸の振動と気泡の発生の様子を分析

通常カメラ

高速度カメラ

研究イメージ1

入口段差形状による不安定振動の抑制効果

ストレート形状
抑制効果なし

入口段差形状
抑制効果あり

【重要】本研究で提案する「入口段差形状」は、キャビテーションによる不安定振動を抑制する可能性を有する。