ハイブリッドロケット(Hybrid Rocket : HR)

ハイブリッドロケットとは

  • 異なる相の推進剤(酸化剤と燃料)を混合・燃焼させるロケットエンジンの一種
  • 典型的な組み合わせ:液体酸化剤固体燃料
  • 当研究室: 亜酸化窒素(N2O)アクリルを使用

亜酸化窒素を利用するメリット

  • 低毒性かつ単体で爆発の危険性が低く安全
  • 液体酸化剤として一般的な液体酸素(沸点:約-170℃)に対し,常温で使用可能
  • 飽和蒸気圧が高いため(20℃で50気圧),ターボポンプのような加圧システム無しでの供給が可能(自己加圧供給

1. タービンや圧縮機の流力性能向上に関する研究

典型的なハイブリッドロケット
(自己加圧供給方式)

課題と研究目的

  • 自己加圧供給では,亜酸化窒素が絶えず蒸発と凝縮を繰り返し気体と液体の 混ざった気液二相流を形成 → 時々刻々と状態が複雑に変化し,詳細が未解明
  • 実用化には推進性能の把握・予測が重要 → 供給特性・燃焼特性の把握が不可欠
 

亜酸化窒素を用いたロケットエンジンにおける
供給・燃焼特性の把握と予測手法の検討

 

研究内容

推進剤タンク排出特性

液体酸化剤の自己加圧/外部ガス加圧による供給特性を評価している

自己加圧供給の物理モデル化

ロケットエンジン推進特性

実際に燃焼試験を行うことで,推力や圧力の計測し,ロケットエンジンの性能を評価している

気液二相流流動特性

管内を流れている気液二相流の流量や圧力,温度変化を詳細に計測・評価している

気液二相流の様子(高速度撮影)

燃焼特性とロケット騒音

燃焼器内部の火炎の状態と高温・高速で 排出される燃焼ガスにより生じるロケット騒音の関係について評価している

燃焼器内の火炎の様子(高速度撮影)